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アメリカのおもひで [雑感]

 私がアメリカで暮らした町には有色人種に友好的な人ばかりで人種差別を感じることはついぞなかった。しかし、町中をうろつきほえて回っていたアメリカ先住民がいた。腫れ物に触るかのように誰もが目を背け無視していた。その男は町の中心部にいつもいた。故郷を奪われ、正当な生活の権利を奪われた民族の悲惨な末路を見る思いがした。大和民族の私たちも琉球王国やアイヌ民族を平定した支配民族の歴史を持っている。アメリカでの白人と同様、被支配民族に対する加害者としての反省の意識は私は希薄だが、後ろめたさ、負い目は生涯背負っていかねばならないのだろう。

 大学の先生にケネディ大統領を尊敬していると話をした時、「ベトナム戦争を仕掛けたのはケネディ大統領じゃないか」と指摘された。日本ではケネディをほめる人はいるけれども、ケネディを批判する人はいない。私はケネディを安易に考えていたのかもしれないと思い、ケネディの評価は棚上げ状態が今日も続いている。

 ベトナム戦争の頃に高校生だった英語教師の話は重かった。隣の町でベトナムに出兵した兵士の死亡の報を伝え聞いた。今度は違う町で。こうした話がぽつぽつと出始めた。そのうち、自分の町でも出兵した兵士の死亡が伝えられるようになったという。ついに身近な知り合いが戦死するようになった、という。戦死は遠い出来事なのだと思っていたが、日常の出来事となってしまった。ここまで語るとその教師は泣き崩れてしまい、話はそこでオシマイとなった。ベトナム戦争は風化していない。生の傷を見たような気がした。

 911の後、アメリカはどうなっているだろう。ベトナム戦争で痛い思いをしたアメリカは愚行を繰り返した。あの英語教師の涙が生かされることなく。愛国心からブッシュを支持したアメリカ国民はさらに新たな傷を負い、迷走している。日本はこの60年、このような悲しみとは無縁である。


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