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また流出したロシア軍のモラルハザード報道 [ニュース]


BBCニュース「性の対象にされたロシア兵」(英語)

 BBCニュースでは、ペテルブルクで先輩の兵士から男娼を強要された兵士についてロシア軍が調査を開始したことについての記事が掲載されている。内務省は当然ながら事実を否定している。今回の件がどこまでの広がりを見せるのか、私は個人的には懐疑的に見ている。BBCニュースには今回の件で動いているNGOグループ「ロシア兵士の母委員会」の背景について記載はないが、チェチェン戦争に反対してきた団体である。このようなグループの動きをプーチン大統領は快く思うわけがない。時間が経過し、関心が失われた段階で暴露した兵士は事故死という形で消される可能性も低くない。ロシアというところは住みにくい国である。

 ロシア軍の道徳観の喪失はソ連時代から続く積年の問題である。先輩の兵士が後輩に屈辱的な要求を強いたり、体罰するのは日常である。戦死よりもイジメが原因で事故死や自殺の割合が高いのがロシア軍の特徴である。あまりにも日常的な問題でロシア人の生活習慣の中に染み込んでしまっているので、ロシア国内でいじめによる新兵の死亡事故があっても取り立てて騒がれることはない。イジメのレベルが日本とロシアでは大きな差があり、日本のイジメはまだ大したことがないように思えてしまう。昨年、自宅前で殺害された女性ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤはロシア兵の置かれた状況を自著で暴露していたが、ロシア国内よりも国外への衝撃は大きかったと思う。その分、兵役の年齢に達した場合、家族は何とか徴兵を逃れようとあらゆる工作をする。身体検査で目や耳が聞こえないふりをするのは勿論、しばらく雲隠れさせて失踪したことにしてしまうことにすることもある。親が権力者である場合は幸運だ。手出しが出来ないので、兵役の間、つつがない生活を送ることが出来る。

 我々の隣国ロシアがそのような状況であることは知っていて損はないだろう。私が見るにロシアでは少年時代まで繊細だった人間ががさつ者になって帰ってくるのは軍隊の影響が大である。日本で出会うがさつなロシア人男性はおしなべてロシア軍の中でもまれてきたのだろう、と同情してあげてほしい。
 ロシア軍のモラル改革はロシア国内で大きな声では言えないが、ロシア国民にとって切なる願いなのである。

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